シロアリは建築物や樹木、農作物などを加害する害虫として知られていますが、世界中に生息している260種シロアリのうち、建築物などを加害するものは53種にすぎません。他の多くは森林地帯に生息し、枯れた木材や落ち葉を食物とし、物質循環に大きな役割を果たしています。特に熱帯地方では地中に網の目のようにつくられる トンネルが、水分や通気など土壌条件の改良に非常に重要な働きをしており、地球環境という視点にたてばなくてはならない益虫なのです。 イエシロアリは世界中のシロアリの内でも、最も加害の激しい種類と言われています。建築物でも木造ばかりでなく、コンクリート造の建築物、立木に対しても被害を及ぼします。大きな巣を建物内または樹幹内、地下に造り、蟻道で餌場(加害場所)とつなげています。職蟻は水を運ぶ能力があるので被害は建物の上層部にまで及びます。1つのコロニー(巣)内の個体数は100万匹に及ぶものもあると言われ、被害速度も早いのが特徴です。寒さに弱く、その分布は温暖地に限られます。
女王と王と中心として多数のシロアリで集団(コロニー)を形成して、高度な社会生活を営んでいます。シロアリ社会は、次のような階級で構成されます。 女王アリと王アリ 産卵に専念します。女王と王は常に一緒に生活し、交尾を繰り返しています。 職蟻 しょくぎ (働きアリ) 集団(コロニー)の構成員の90〜95%を占め、餌の採取活動、巣の構築・修理・清掃、女王や王・幼虫・兵蟻(兵隊アリ)に食物を与える役割を担当してます。 兵蟻 へいぎ (兵隊アリ) 発達したコロニーでは、2〜3%を占めます。外敵からの防衛にあたるシロアリで、餌は職蟻(働きアリ)から口移しでもらいます。